【日本パンクシーンの金字塔】Hi-STANDARDの楽曲7選

1991年に結成されて以来、日本だけでなく海外でも活動を行い、パンクロックを基調としながらも、ファンク・レゲエ・ハワイアン・メタルなどの様々な要素が盛り込まれたバリエーション豊かな楽曲で、コアなファンをどんどん増やして行き、3枚目のアルバム「MAKING THE ROAD」では100万枚の売上を記録。

そんな飛ぶ鳥を落とす勢いの中で、2000年に惜しまれつつも活動休止。

しかし、2011年に東日本大震災復興のために、伝説のパンクフェス「AIR JAM」を復活開催。そのタイミングで待望の活動再開と、その音楽性や生き方で今もなお音楽シーンに多大な影響を与え続けている、日本パンクバンドのパイオニア「Hi-STANDARD」こと「ハイスタ」

今回は筆者の2ビート(スタスタと激烈に早いビート)の基礎を叩き込んでくれた、ハイスタのおすすめ楽曲7選をバリエーション豊かにご紹介いたします。

それでは「GROWING UP!」

第七位 kiss me again

映像なし

1995年11月1日に発売された記念すべき1stフルアルバム「GROWING UP」に収録。

少し歪んだギターの優しいアルペジオから始まり、難波さんの「ウー〜1234!」の掛け声から動き出す、「男らしい女々しさ」を含んだ胸熱キュンキュンナンバー。

多彩な曲展開をバランスよく仕上げているところに、ハイスタの楽曲の完成度の高さを思い知らされます。

マジで泣けます。

この曲は、昔筆者が組んでいたバンドでコピーした思い出があり、恒さんの数ある名フレーズの中でも特に特徴的で好きでした。

※2小節目の3・4拍のライドシンバルとバスドラムのコンビネーションが超秀逸(秀逸以上の言葉がほしい!)

正確なテンポはわかりませんが、BPM200を軽く超える速さでこのフレーズを涼しげに(たとえそうじゃなくても、そう感じるくらい抜けが良い)繰り出されるテクニックの高さには声も出ません。

そんなハイスピードな楽曲でラブソングを歌うなんて、大好きなんだけど恥ずかしいから、早口で愛を呟いているシャイな男性をイメージしてしまいます。

男って不器用なんですよね(笑)ハイスタが愛される理由の1つがわかる一曲です。

第六位 STANDING STILL

STANDING STILL

小気味の良い3連符のタム回しから、切れ味のある2ビートに乗せて、掻きむしるかのようにリフを刻むギターとベース。

ハイスタの王道ビートにノリながら、「You had gone」(あなたは行ってしまった。)と切なさが込み上げてくる一声から始まるハイスピードナンバー。

先ほど紹介した100万枚のセールスの記録を持つ3rdアルバム「MAKING THE ROAD」(1999年6月30日発売)に収録されています。

一人でも前に進もう。でももう少し立ち止まっていたいという、相反する気持ちの葛藤が描かれていて、それでも何をしていても時の流れは止めることは出来ない。

というメッセージのような楽曲のスピード感が、より切ない気持ちを掻き立たせます。

この曲の聴きどころは、やはり2ビートです。


※場面によっては写真の1/2の速さのビートの時もありますが、基本はバスドラが速すぎて3連符に聴こえてしまうくらいのスピード感で走り抜けます。そして最後は光が差し込むかのようなギターのアルペジオの余韻を残してエンディングとなります。この曲もわずか2分13秒。それでも映画を見ているかのような(大袈裟ではありません)感覚があるのは私だけではないハズ。

第五位 California Dreamin’

映像なし
「GROWING UP」に収録。

バラエティ豊富なオリジナル曲だけでなく、有名曲のカバーの名手でもあるハイスタ。

その数あるカバー曲の中でも、群を抜いたアレンジを魅せるのがこの楽曲。

1960年代のアメリカで活躍したフォークグループ「パパス&ママス」の代表曲です。

原曲の哀愁さもサイコーですね。

California Dreamin` (夢のカリフォルニア) / THE MAMAS & THE PAPAS

ハイスタ版になると、オリジナルの持つ哀愁さに吹き出しまくりの感情が乗っかり、思わず拳を振り上げてしまいそうになります。

そんな歪んだギター・ベースや、吠えまくりのボイスが行きすぎないようにコンパクトにまとめているのが、ドラムのタイトなサウンド。

恒さんのドラムは、激しいんだけどボーカルの邪魔にならないと言う、不思議だけどとても心地がいいプレイが特徴的なのですが、その心地よさがこの曲でも見事にハマっています。

そして、そんな激しさを存分に発揮している聴きどころが、最後のサビを歌い終わった直後から始まる高速スネア連打です。

切れ味抜群の乱れ打ちを是非聴いていただきたいです。


※ハイハットの頭打ちから始まって、そこがクラッシュシンバルに変わり、最後はバスドラムと共にスネアの数も増えていくテンション高めのフレーズ。ドラマーの最高の魅せ場です!

第四位 No Heroes

NO HEROES

「MAKING THE ROAD」(1999年6月30日発売)に収録。

「ヒーローなんていらない」と言うメインのメッセージが印象的な、パンクロックらしい歌詞のナンバー。

自分の憧れた存在に裏切られた感情をストレートに表現していて、ハイスタのポジティブなイメージとは一味違う、攻撃的な面を観ることができます。

サウンドはメタル調のギターリフとベースラインに、ライドシンバルのカップとバスドラムが合わさった、シンプルながらも新しさを感じさせるイントロから始まります。

こういう楽曲でもハイスタらしさを出せるところにセンスの高さを感じます。

唯一無二。

曲調は終始2ビートなのですがギター・ベース・ドラム。

そしてボーカルのメロディラインの組み合わせ方がお見事で、メロ毎に表情が変わる飽きさせない展開に終始脱帽です。

3ピースバンドの可能性が止まることを知らない。

わずか2分ちょっとの楽曲に、こんなにもストーリー性を持たせることが出来るバンドはいません。

そんなびっくり箱ソングの一番の聴きどころは、間奏とラストのサビが始まる前の、恒さんのハイハット「チッチッ」です。


※2小節目の3拍のウラと4拍目が衝撃的な「刻み」の瞬間です。

このフレーズを実際のバンド演奏の中で表現出来るとかなりテンションが上がります。

難易度が高いフレーズですが、「ビシッと決まる気持ちよさ」を求めてぜひチャレンジしていただきたいです。

第三位 All Generations

Hi-STANDARD -All Generations(OFFICIAL VIDEO)

「We gonna rock the show」(私たちはショーを盛り上げるつもりです)と言う歌詞の通りライブでは盛り上がりを見せるナンバー。

2017年10月4日に発売された5thアルバム「GIFT」の一番最初に収録されています。

前作「MAIKING THE ROAD」からなんと18年ぶりのリリースなので、少し大人の余裕を持った雰囲気を楽曲から感じ取ることが出来ます。

それがまたカッコいいんですよ。こういう年の取り方をしたいです。

健くんのギターカッティングにベースとドラムが要所要所に入り、ハイミドルテンポの8ビートが心地よく展開していきます。

私個人の感想としては、恒さんのドラムはこれくらいのテンポのビートが一番合うと思っています。

バスドラ・スネア・ライド、これらの音量・音圧が体の芯まで届く印象です。

そんな久しぶりのハイスタサウンドの聴きどころを紹介したいのですが、ここではPVでのハイテンションな演奏っぷりをぜひ堪能していただきたいです。

本当に楽しく演奏しているんですよね。

音楽の本質である「音を楽しむ」を体現している3人は見ているだけで元気になれます。

心からありがとう。

第二位 Nothing

NOTHING

「MAKING THE ROAD」(1999年6月30日発売)に収録

「渚」を連想させるギターのゆったりとしたアルペジオから始まり、夕日を思わせるような(比喩が多くなってしまいます。

ハイスタはそれだけ懐の深さ、表面的なサウンドではないと言う認識の表れです)メトロノームに合わせたスネアのリムショット。

そこから・・・

一気にトップギヤ!

ハイスタの中でも特に静と動の切り替えの威力が発揮されているナンバーで、「あなた以外何もいらない」と言う純粋な想いを歌っています。

英語の歌詞ならではのストレートな表現ですね。

余談ですが、英語の歌詞は訳してみると「こんな感じだったんだ」みたいな発見があって、余計に曲の良さを噛み締めることができます。

英語の歌詞って単純にかっこいいんですけど、その意味を知ることでもっと作曲者の心を理解することができるので2度美味しい感覚で、私にとってNOTHINGはまさしくそうでした。

聴きどころは、3人の声のハーモニーです。

サビ(ど頭の歌がサビと認識しています)が落ち着いて8ビートに変わるところで難波さんの後ろで健くんと恒さんが「おーーおー♪」と各々音程を変えたコーラスをしています。

その他の楽曲でもコーラスをしていますが、この曲のコーラスは切なさが十二分に伝わります。

こういう合わせ方がサイコーに上手いし、さりげないからヤバイですよね(語彙力すいません・・・)

第一位 THE SOUND OF SECRET MINDS

Hi-STANDARD – The Sound Of Secret Mind [OFFICIAL MUSIC VIDEO]

1997年5月14日に発売された2ndアルバム「ANGRY FIST」の大トリ(Secret Trackは除いてマス)を飾るナンバー。

「お前の心の声を聴け」というストレートな歌詞に大きな共感を得て、もっと大胆に人生を生きることの大切さに気づかせてくれます。

ハイスタの特徴の1つである「楽曲の短さの中に詰まりまくった豊かな感情」はそのままでですが、この曲ではサウンド的な激しさは少しなりを潜めて、あえてミドルテンポのストレートな曲展開で、うちに秘めた感情を一番伝わりやすいアプローチで表現している。そんな印象を受けます。

恒さんの緊張感のあるフォーカウントから始まる8ビートを基調としたサウンドからは、日常的に繰り返される「徒労」を連想してしまい、少しセンチメンタルな気持ちにさせられます。これが意図的であればハイスタはマジシャンです(笑)

聴きどころは、サビに入る前のスネアドラムとキック(バスドラム)のコンビネーションです。


※筆者耳コピバージョン。ニュアンスは表現していません。

ドラマーがこのフレーズを気持ちよく決められるかどうかで、この曲のテンションが変わりますね。

特に3拍目のバスドラムの2連打。

ここでしっかり鳴らせるようにしたいです。

非常にやりがいのあるフレーズで、ドラマーの腕の見せ所です。

いかがでしたでしょうか?ドラマーである私はハイスタの中でも特に「恒さん」のドラミングに憧れ、聴くたびにそのダイナミクスに興奮し高揚し、そのテクニックの高さに嫉妬し落胆しと、さまざまな感情を持っていました。

まだまだ高い壁ですがこれからも追いかけ続けていきます。

今回、こうしてハイスタの記事を作成することを通して改めて、ハイスタの良さを感じることが出来ました。

世の中何が起こるかわかりませんが、胸に刻まれたタイトなドラムサウンドが消えてしまうことは絶対にありません。

私にとってハイスタはもちろん、恒さんは永遠のアイドルです。

それでは!

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