【BRAHMAN】コロナ禍を経てさらなる進化を遂げたブラフマンの軌跡をふり返る

1995年の結成以来、国内ロックシーンの最前線を走り続けるBRAHMANが、コロナ禍以降初となるライブハウスツアー「Tour -Hands and Feet 9-」を開催することを発表しました。コロナ前のように、小さなライブハウスで彼らのパフォーマンスを体感できる日が来ることを、待ち望んでいたファンも多いはず。

ライブハウスのステージが似合う(もちろん最大級の褒め言葉)BRAHMANですが、彼らが数多くの野外フェスに出演し、大会場をソールドアウトさせる人気バンドであることは、説明不要でしょう。

当記事では、これまでに発表された6枚のフルアルバムを中心に、BRAHMANの軌跡をふり返ります。

結成~インディーズ時代

TONGFARR (2009)

デモテープと2枚のミニアルバム

TOSHI-LOW(vo)、DAISUKE(g)、NABE(b)、RONZI(dr)によってBRAHMANが結成されたのは、1995年。

パンクと民族音楽の融合を目指した彼らのサウンドは最初期からオリジナルなもので、バンド結成後に初めて作られた「TONGFARR」という曲の時点ですでに民族音楽的な要素が取り入れられています。

わずかな期間でNABEが脱退。後任として、BRAHMAN結成前までRONZIと共にバンド活動を続けてきたMAKOTOが加入します。

MAKOTO加入後に4曲入りのデモテープを制作。「SWAY」のみNABEがベースを弾いている音源です。

1996年11月、初のCD作品となる5曲入りの1stミニアルバム『grope our way』をリリース。のちに10インチのアナログレコードも発売されました。

『grope our way』を発表後にDAISUKEが脱退。

TOSHI-LOWがギターとヴォーカルを兼任しながら活動を続け、1997年10月25日に2ndミニアルバム『wait and wait』をリリース。

同年、新ギタリストとしてKOHKIが加入。
TOSHI-LOW(vo)、KOHKI(g)、MAKOTO(b)、RONZI(dr)という現在まで続く最強の布陣が完成します。

1stアルバム『A MAN OF THE WORLD』

一大ブームを巻き起こした野外フェス「AIR JAM ’98」に出演した翌月に、初のフルアルバム『A MAN OF THE WORLD』を発表(1998年9月1日発売)。インディーズレーベルからリリースされた作品でありながら異例の60万枚以上のセールスを記録しました。

なお、インディーズ時代の3作品はすべて廃盤。
のちに、それらの楽曲を再録した『ETERNAL RECURRENCE』(2009年)が制作されています。

SEE OFF (2009)

メジャーデビュー以降、走り抜けた2000年代

BASIS

2ndアルバム『A FORLORN HOPE』

1999年7月、BRAHMANは「FUJI ROCK FESTIVAL」に初出演。同年9月29日に、TOY’S FACTORYからシングル『deep / arrival time』をリリースしてメジャーデビューを果たします。

deep

国内パンクシーンを牽引してきたHi-STANDARDが「AIR JAM 2000」を最後に活動休止。ブームも徐々に沈静化し、多くのバンドが失速していった2001年。BRAHMANが発表した2ndアルバム『A FORLORN HOPE』が、オリコン週間アルバムチャートで2位を記録します。

2001年6月27日にリリースされたメジャー移籍後初のフルアルバム。

FOR ONE’S LIFE

PLASTIC SMILE

『A FORLORN HOPE』リリース後も精力的にライブ活動を続けたBRAHMANは、2003年10月2日に北京で行われた「MIDI 2003 Modern Music Festival 」に出演。
中国広東省で日本人団体旅行客による集団買春事件が発生した直後であったことから、反日感情を抱いた一部の観客からステージに石や生卵、ペットボトルなどが投げ込まれました。しかし、怯むことなく演奏を続けた彼らに向けられた罵声は歓声に変わり、惜しみない拍手が送られています。

3rdアルバム『THE MIDDLE WAY』

2004年9月29日に3rdアルバム『THE MIDDLE WAY』をリリース。
「THE VOID」のようなハードな曲もありながら、メロウな楽曲も秀逸。音楽性の幅と奥行きが大きく広がった作品です。

2010年に、TOSHI-LOWの妻であるりょうが出演したCHIFURE(ちふれ化粧品)のCMに、本作収録曲の「A WHITE DEEP MORNING」が起用されて話題を呼びました

THE VOID

A WHITE DEEP MORNING

4thアルバム『ANTINOMY』

2005年7月27日、2ndシングル『CAUSATION』を発表。1stミニアルバム収録曲「BEYOND THE MOUNTAIN」の再録版を含む3曲入りです。

CAUSATION

2007年4月4日、2曲入りの3rdシングル『Handan’s pillow / 逆光』をリリース。

Handan’s pillow

そして、2008年2月6日に4thアルバム『ANTINOMY』をリリース。シングルや映像作品で発表されていた楽曲は、すべて再録されています。

メンバーがハードコアに傾倒していた時期に制作されたアルバムで、オープニングを飾る「The only way」や「Speculation」はライブ会場でクラウドサーファーが続出する人気曲。
しかしながら “静”の部分も素晴らしく、アイヌ語で歌われるラストの「Kamuy-pirma」が感動的です。

The only way

Kamuy-pirma

再録アルバム『ETERNAL RECURRENCE』

2009年6月10日、『ETERNAL RECURRENCE』を発表。前述したインディーズ時代の楽曲を再録したアルバムです。

『A MAN OF THE WORLD』全曲と、ミニアルバム2作品から抜粋された計17曲(初回盤のみ計18曲)を、一部の歌詞を変えて再レコーディング。長きにわたってライブで演奏され、強靭さを増した名曲の数々を堪能できる作品です。

BEYOND THE MOUNTAIN (2009)

ROOTS OF TREE (2009)

EGO-WRAPPIN’とのコラボシングル『SURE SHOT』

2010年5月19日、TOY’S FACTORYが設立した新レーベルNOFRAMESの第一弾として、EGO-WRAPPIN’とのコラボ作品『SURE SHOT』をリリース。

両バンドが共演した「WE ARE HERE」と「promenade」の2曲に加え、お互いの楽曲をカバーしあった4曲入りシングル。
BRAHMANは「Nervous Breakdown」、EGO-WRAPPIN’は「Speculation」をカバーしています。

WE ARE HERE

転機となった東日本大震災

賽の河原

5thアルバム『超克』

2011年3月11日、東日本大震災が発生。
BRAHMANのメンバーやスタッフは、震災直後から行動を開始。彼らが仲間たちと連携して集めた支援物資を被災地に届け、精力的にボランティア活動を行っていたことをご存じの方も多いことでしょう。

TOSHI-LOWが立ち上げたNPO法人「幡ヶ谷再生大学復興再生部」は、現在も全国の被災地で支援活動を続けています。

https://hatagaya-saisei-univ.jp/top/

(活動初期を除き)BRAHMANはMCなしのライブを続けてきましたが、東日本大震災以降、TOSHI-LOWがステージ上から想いを伝えるようになりました。

2011年9月7日、3曲入りシングル『霹靂』をリリース。

霹靂

2012年9月5日、3曲入りシングル『露命』をリリース。

露命

2013年2月20日、5thアルバム『超克』を発表。震災後初のオリジナルアルバムは、カバー以外のすべての楽曲が日本語詞で綴られています。

初期衝動

鼎の問

2013年6月8日には、幕張メッセで「TOUR 相克 FINAL『超克』the OCTAGON」を開催。観客が周囲を囲む八角形のセンターステージでライブを行いました。

結成20周年記念ベストアルバム『尽未来際』

結成20周年を迎えた2015年に、映画『ブラフマン』が劇場公開(2015年7月4日封切り)。クリエイティブディレクターの箭内道彦が監督/撮影を担当したドキュメンタリー作品で、メンバーや家族、関係者が出演。
映画に先がけて7月1日にリリースされた主題歌「其限 ~sorekiri~」の制作過程も映し出されています。

其限 ~sorekiri~

2015年8月9日(下北沢Shelter)、11日(下北沢Club 251)、12日(新宿Antiknock)に、結成直後に行ったライブと同日、同会場で「尽未来際 ~開闢~」と題された3公演を実施。

新宿Antiknockでワンマンライブを行った8月12日に、結成20周年を記念して制作された初のベストアルバム『尽未来際』をリリース。
2種類の初回限定盤(A、B)と通常盤が発売され、初回盤Aには2CD、2DVD、写真集、デモテープの復刻盤が封入されました。

2015年9~10月にツアー「尽未来際 〜畏友〜」。そして、11月14日、15日に幕張メッセで20周年記念ライブ「尽未来際 〜尽未来祭〜」を2days開催。Hi-STANDARDやSUPER STUPID、the HIATUS、エレファントカシマシといった計19組の盟友たちが出演しています。

6thアルバム『梵唄 -bonbai-』

2016年3月1日に「天馬空を行く」、同年12月5日に「守破離 featuring KO (SLANG)」を配信でリリース。

天馬空を行く

守破離

2017年4月12日には、3曲入りのシングル『不倶戴天 -fugutaiten-』をリリース。
本作収録曲の「ラストダンス featuring ILL-BOSSTINO (THA BLUE HERB)」と「守破離」をカップリングした7インチのアナログレコードも同時発売されました。

不倶戴天

2017年10月4日、映画『あゝ、荒野』と『生きる街』の主題歌に起用された2曲をカップリングしたシングル『今夜 / ナミノウタゲ』をリリース。

今夜

2018年2月7日、6thアルバム『梵唄 -bonbai-』を発表。
フルアルバムとしては現時点での最新作です。

ラストを飾る「満月の夕」(まんげつのゆうべ)は、ソウル・フラワー・ユニオンの中川敬とヒートウェイヴの山口洋が共作した名曲のカバー。中川と山口、うつみようこ(元ソウル・フラワー・ユニオン)を迎えたBRAHMAN版「満月の夕」は、多くの音楽ファンに聴いていただきたい名演です。

AFTER-SENSATION

満月の夕

5年ぶりのフルアルバムをリリースした2日後(2018年2月9日)には、初の日本武道館単独公演「八面玲瓏」を成功させています。

初の台湾盤アルバム『兼愛非攻~台灣特選輯~』

台湾のパンクバンド、Fire EX.からのラブコールを受けて『兼愛非攻~台灣特選輯~』をリリース(2019年8月21日発売)。
過去作品からセレクトされた16曲に、Fire EXとの共演曲「兼愛非攻」を加えたBRAHMAN初の台湾盤アルバムです。

兼愛非攻

コロナ禍を経て新たなフェーズに突入したBRAHMAN

Slow Dance (Live)

ILL-BOSSTINOとのコラボシングル『CLUSTER BLASTER / BACK TO LIFE』

新型コロナウイルスの感染者が国内で急増した2020年。4月に発令された第一回緊急事態宣言以降、多くのイベントが延期や中止に追い込まれました。

他のバンドと同様にライブ活動を行なえなかったBRAHMANは、ILL-BOSSTINOと2曲入りのシングル『CLUSTER BLASTER / BACK TO LIFE』を制作(2020年9月30日発売)。

CLUSTER BLASTER

2020年10月9日には、札幌KLUB COUNTER ACTIONにて初の無観客配信ライブ「ONLINE LIVE “IN YOUR【  】HOUSE”」を敢行。札幌を拠点とするILL-BOSSTINOとKOもゲスト出演しています。

現時点での最新シングル『Slow Dance』

2021年6月から8月にかけてコロナ禍以降初の有観客単独ツアー「Tour 2021 -Slow Dance-」を、全国各地のZeppで開催。ハードコア・チューンでモッシュやクラウドサーフを誘発し、会場を熱狂の渦に巻き込んできたBRAHMANにとって初の試みとなるスローな楽曲を中心としたセットリストは、各地で称賛されました。

同ツアーで披露された新曲をタイトルに冠したシングル『Slow Dance』を、2021年9月22日にリリース。

世界的広告系メディアのshotsが主催する「shots Awards Asia Pacific 2022」のMusic Video of the Year部門に入賞したMVは必見です。

Slow Dance

2021年11月から2022年1月にかけて、キャリア初となるホールツアー「Tour -slow DANCE HALL-」を開催。前回と同様、“静”の部分にスポットを当てたこのツアーも、高い評価を得ました。

2022年1月13日に中野サンプラザで行われた同ツアーの最終公演を含む3本のライブを収録したBlu-ray/DVD『Three Times Three』を、2022年4月27日にリリース。撮影された会場(中野サンプラザ、Zepp Tokyo、Studio Coast)がすべて閉館していることもあり、貴重な映像作品となっています。

FAR FROM… (Live)

コロナ禍以降初となるライブハウスツアー

新型コロナウイルス感染症の法的な位置付けが「5類」に移行したことにより、コロナ以前の風景に戻りつつある2023年。BRAHMANが「Tour -Hands and Feet 9-」を行うことを発表しました。

未踏の地や訪れたことのないライブハウスを中心に回ることをコンセプトとした「Tour -Hands and Feet」が、8年ぶり9度目の開催。「Tour 2021 -Slow Dance-」で回ったZeppのような大型ライブホールよりもキャパシティの小さいライブハウスでのツアーは、コロナ禍以降初となります。

国内屈指のライブバンドであるBRAHMANのパフォーマンスを、存分に堪能してください!

【Tour -Hands and Feet 9-】ツアー日程

10/12(木) 防府 BAR印度洋
10/14(土) 佐賀 RAG.G
10/15(日) 指宿 LIVE IN CHAINS
10/20(金) 新栄 Red Dragon
10/21(土) 浜松 G-SIDE
10/28(土) なんば Yogibo META VALLEY
11/3(金・祝) 上田 Radius
11/5(日) 足利 SOUNDHOUSE PICO
11/9(木) 二条 GROWLY
11/11(土) 福山 MUSICFACTORY
11/17(金) 豊橋 club KNOT
11/24(金) 酒田 hope
11/26(日) 弘前 KEEP THE BEAT
11/29(水) 函館 ARARA
12/1(金) 札幌 KLUB COUNTER ACTION
12/5(火) 釧路 Veiled Cafe

and more…

各公演の詳細は、オフィシャルサイトのLIVEページにてご確認ください。

https://brahman-tc.com/live

音楽活動のきっかけを探している方へ

バンドをやりたいけど、どうやって組めばいいかわからない…。
身近に誘える友人や知人がいない…。

音楽をやりたいのになかなかきっかけを掴めずにいる方は、メンバー募集掲示板をチェックしてみてください!
あなたを待っている仲間を見つけられるかもしれません。

メンバー募集掲示板をチェックする

この記事を書いた人
五辺宏明

レコード&昭和プロレス愛好家。
でもほんとはライブ至上主義。
音楽サイトやnoteに駄文を執筆しています。

関連記事

コメント

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。