【ガールズバンドの巨星】チャットモンチーの魅力と屈指の名曲たち

バンド結成以降絶えず独自の音楽スタイルを追求し、バイタリティ溢れる活躍ぶりで第一線を駆け抜けてきたチャットモンチー。
2018年、「完結」という形で惜しまれつつもその活動に終止符を打ちましたが、今もなお沢山のリスナーに愛され、様々なアーティストに影響を与えています。
今回はそんなガールズバンドの巨星と言える、チャットモンチーの多彩な魅力や必聴の名曲をご紹介していきたいと思います。

チャットモンチーとは

メンバープロフィール

橋本絵莉子

生年月日 1983年10月17日
出身地 徳島県
担当楽器 ギター・ボーカル
愛称 えっちゃん

中学・高校時代は管弦楽部に所属しクラリネットを担当する一方、バンドを組んでいた兄の影響でギターに興味を持ち、高校2年生の時にチャットモンチーを結成。
ギター・ボーカルに加えて、作詞やほとんどの楽曲の作曲を務めるバンドの中心的存在です。
作曲は基本的に詞先スタイルをとっており、彼女の紡ぐキャッチーで心地良いメロディーは、歌詞の世界観や語感をより引き立てています。
そんな彼女の魅力はなんといっても、伸びやかなハイトーンボイス。
時に切なく、時に力強く響く唯一無二の歌声は、楽曲に豊かな彩りを与えています。

福岡晃子

生年月日 1983年4月16日
出身地 徳島県
担当楽器 ベース・コーラス
愛称 あっこびん・あっこちゃん

高校卒業間近、当時は別メンバーで活動していたチャットモンチーの橋本絵莉子さん以外のメンバーがバンドを脱退したことをきっかけに、ベーシストとしてチャットモンチーに加入。
存在感のあるプレイやセンスに富んだアレンジはもちろん、明るくエネルギッシュなキャラクターやライブを大いに盛り上げるパフォーマンスで、チャットモンチーを牽引してきました。
数々のヒット曲の作詞も手掛けており、乙女心を赤裸々かつエモーショナルに綴った、リスナーを惹きつける歌詞が印象的。
ドラムの高橋久美子さんが脱退し2人編成になった後は、ドラムやキーボード演奏にも挑戦し、マルチプレイヤーとしての才能も発揮しました。

高橋久美子(2011年まで)

生年月日 1982年4月10日
出身地 徳島県
担当楽器 ドラム・コーラス
愛称 くみこん

大学時代は軽音部に所属しており、後輩として入部してきた福岡晃子さんに誘われる形で、ドラマーとしてチャットモンチーに加入。
豊富な音色を持つドラムセットの特性を生かした繊細でメリハリのあるドラミングで、各楽曲に鼓動を授けています。
作詞における評価も高く、国語の教師を志していたこともあってか、文学的な趣を携えた歌詞が特徴的。
2011年には「音楽に向かっていくパワーがなくなっている」という理由でバンドを脱退してしまいますが、チャットモンチー在籍時から発揮していた文才を生かし、今もなお作家として活躍しています。

チャットモンチーの軌跡

全力疾走したスリーピース期

デビュー前の2004年4月、徳島のバンドコンテストでグランプリを獲得したことを皮切りに着々と知名度を上げ、自主制作CD『チャットモンチーになりたい』は手売りで1500万枚を売り上げました。
翌年8月には、アマチュアバンドながらRockin’on Japan誌において期待の新星として紹介され、同年11月、ミニアルバム『chatmonchy has come』をリリースしメジャーデビュー。リード曲である『ハナノユメ』は、30局を越える全国のラジオ局でパワープレイを獲得しました。

こうして順調に歩を進めていた彼女たちの人気を決定づけたのは、2006年11月発売の3rdシングル『シャングリラ』。
この曲で初のオリコン週間ランキングTOP10入りを果たし、ロックファンのみならず、世間にその名を知らしめることとなります。
その後もヒット曲を連発し、2008年にはデビューからわずか2年4ヶ月という早さで、日本武道館2Days公演を開催。
数々のCMやドラマとのタイアップもこなすなど、名実ともにトップミュージシャンとしての地位を確固たるものにしました。

そんな順風満帆の彼女たちでしたが、2011年、バンド存続の危機が訪れます。
ドラマーであり、作詞においても即戦力であった高橋久美子さんが、バンドを脱退することとなったのです。

変身を遂げたツーピース期

スリーピースバンドにとって、致命的とも言えるメンバーの脱退。
しかし、それでもチャットモンチーは歩みを止めることはありませんでした。
ドラムをはじめ各楽器を2人で分担してこなし、ライブでは「ループステーション」と呼ばれる機材を用いてリアルタイムで音を重ねて演奏するなど、異例の形で活動を続けていきます。
2012年2月にリリースされた2ピースとなって初のシングル『満月に吠えろ』は、ギターとドラムのみというシンプルな編成でありながら、自分自身を鼓舞するようなエネルギーに満ちており、新たなフェーズへの突入を感じさせる1曲です。
その後も次々とシングルを発表し、2012年10月には5thアルバム『変身』を発売。
アルバムリリースに伴い過去最大規模となる全国ツアーを開催するなど、その勢いはとどまることを知らず、2ピースバンドの無限の可能性を示しました。

そしてツアー後の2013年5月、橋本さんがブログにて結婚・妊娠を報告。同時に暫くの間活動休止に入ることが発表されました。

サポートメンバーを迎えた6人体制期

約1年程の活動休止期間を経て、2014年8月のRock in Japan Fesで活動を再開。
サポートメンバーである「男陣」(Dr.恒岡章さん、Key.下村亮介さん)を迎えた新体制で再スタートを切ります。
前作から約2年ぶりとなる16thシングル『こころとあたま/いたちごっこ』は、対照的な2曲が両A面を飾り、チャットモンチーの更なるクリエイティビティの開花を提示する重要な作品となりました。
さらに翌年には新たなサポートメンバー「乙女団」(Dr.北野愛子さん、Key.世武裕子さん)も参加。6人のメンバーで4ピース、3ピース、2ピースという様々な編成を使い分け、遊び心と冒険心溢れる色とりどりの楽曲を発表しました。

2人に戻ったメカニカル期

2016年11月、デビュー10周年を記念する日本武道館公演を終えたチャットモンチーは、立ちはだかる未来に向けて更なる音楽意欲を燃やし、またしても新体制を構えることを発表。「メカットモンチー」と称し、デジタル楽器(打ち込み)を取り入れ、メンバー2人で活動していくこととなりました。
そして2017年3月からはワンマンツアー「チャットモンチーと機械仕掛けの秘密基地ツアー」を開始。バンドサウンドの既存曲を打ち込みで大胆にリアレンジした、斬新なパフォーマンスを披露しました。

こうしてどんな時も未知なる音楽を追い求め、走り続けてきたチャットモンチー。
デビューから12年目を迎えた2017年11月、思い描く限りのバンド像を体現しきった彼女たちは、2018年7月を以って「完結(解散)」することを発表しました。
翌年6月にリリースされた『誕生』は、ラストアルバムでありながら、変身を止めなかったチャットモンチーらしい新たな始まりを予感させる傑作です。
7月には武道館にてラストワンマンライブ、そして地元徳島にて正式な完結となる「こなそんフェス」を開催。
多くのファンが見守る中、これまでの集大成となる圧巻のパフォーマンスで有終の美を飾りました。

バンドシーンに大きな影響を与えたバンド、チャットモンチーの魅力

楽曲の振り幅の広さ

チャットモンチーの最大の特徴であり、多彩な楽曲を生み出し続けた所以とも言えるのが、メンバー全員が作詞家であるということ。
橋本さんの繊細だけれど凛とした歌詞と、福岡さんの写実的で甘酸っぱい歌詞、そして高橋さんの小説のような温もりのある歌詞。
彼女たちのアーティストとしての表現領域の広さは、それぞれのベクトルの異なる個性が光る歌詞に基づいていると言っても過言ではありません。

そして、そんな歌詞と引き合わせられたかのように調和するメロディーは、ユニークで新鮮でありながら、耳馴染みの良いものばかり。
作曲より先に作詞を行うことを詞先と言いますが、チャットモンチーの楽曲のほとんどは詞先で作られています。
彼女たちが常にリスナーの意表を突く瑞々しい楽曲を届けてくれていたのは、この詞先スタイルにより、時に歌詞に導かれるようにして、メロディー単体でのイマジネーションを超えて曲作りを行っていたからなのかもしれません。

揺るぎないサウンドへのこだわり

チャットモンチーは、観客が楽しめるようにとライブで再現できる演奏にこだわり、最低限のオーバーダビングで楽曲制作を行っていました。
スリーピースバンドは、編成上どうしても音圧に乏しくなりがち。しかし彼女たちの楽曲はそんな弱点を逆手に取った、個々の楽器の良さが際立つアレンジやシンプルで洗練されたサウンドが印象的です。
高橋さんの脱退後も、担当パートやアレンジを変えループを駆使し、時にサポートメンバーを迎えたり、DTMを取り入れたりしながら、表現方法を追求し続けていました。
常に試行錯誤を繰り返し、挑戦し続ける彼女たちの姿から、サウンドへの揺るぎないこだわりや開拓心が感じられます。

自然体で飾らない佇まい

「ボーイズバンド」という言葉は無いけれど「ガールズバンド」という言葉が存在する以上、世間一般的に女性バンドに対する何かしらのバイアスがかかっていた(いる)ことは否めません。
しかし、チャットモンチーはそういったフィルタリングに反骨精神を露わにするでもなく、それでいて取り入るわけでもなく、いつもフラットに、等身大の姿で音楽と向き合っていました。
こうした自然体で飾らない佇まいこそが「チャットモンチーらしさ」であり、彼女たちの大きな魅力のひとつであると私は思っています。
2ピース体制になったり、打ち込みを導入したりと、節目ごとに輪郭を自由自在に変えていった彼女たち。しかしその軸には、いつも変わらないチャットモンチーらしさがありました。
だからこそファンやリスナーは、変貌を遂げていく彼女たちの姿に戸惑うことなく、むしろ期待に胸を膨らませることができたのではないでしょうか。

【チャットモンチー】必聴の名曲6選!永遠に色褪せない魅力をご堪能あれ!

ハナノユメ

2005年11月23日リリース デビュー・ミニアルバム『chatmonchy has come』収録
作詞:高橋久美子 / 作曲:橋本絵莉子
チャットモンチー 『ハナノユメ』

デビューアルバムの一曲目を飾る、チャットモンチーの初々しくも完成された魅力が詰まった名曲。
リズム隊が織り成す軽快なグルーヴに乗せて始まる「薄い紙で指を切って 赤い赤い血が滲む」というフレーズに、一瞬で釘付けになったリスナーも多いのではないでしょうか。

シャングリラ

2016年11月15日リリースの3rdシングル
作詞:高橋久美子 / 作曲:橋本絵莉子
チャットモンチー 『「シャングリラ」Music Video』

初のオリコンチャートTOP10入りを果たし、その後メディアへの露出も増えるなど、チャットモンチーの知名度を一気に引き上げた楽曲。
ユニークな歌詞や独特な変拍子が癖になる、中毒性の高い1曲です。

染まるよ

2008年11月5日リリースの9thシングル
作詞:福岡晃子 / 作曲:橋本絵莉子
チャットモンチー 『「染まるよ」Music Video』

プロデューサーとして初めて亀田誠治さんを迎えて制作された楽曲で、切ない恋愛感情を綴った歌詞が多くの女性の共感を呼びました。
最低限の音で構築されたAメロ・Bメロ部分のアレンジが、サビの盛り上がりをより引き立てています。

満月に吠えろ

2012年2月1日リリースの11thシングル
作詞:福岡晃子 / 作曲:橋本絵莉子
チャットモンチー 『「満月に吠えろ」Music Video』

高橋久美子さんの脱退後、2人体制となってから初めてリリースされた楽曲。
「満月に吠えろ この歌を止めるな」という歌詞から、一匹狼ならぬ二匹狼として突き進んでいこうとする、二人の強い意思が感じられます。

こころとあたま

2014年10月29日リリースの16thシングル
作詞・作曲:橋本絵莉子
チャットモンチー 『こころとあたま』Short Ver.

サポートメンバー「男陣」を迎えて初めて制作された楽曲。
チャットモンチーの楽曲では珍しいシンセサイザーのサウンドが前面に出た、疾走感溢れるロックナンバーです。

たったさっきから3000年までの話

2018年6月27日リリース ラストアルバム『誕生』収録曲
作詞・作曲:橋本絵莉子
チャットモンチー 『たったさっきから3000年までの話』

メカットモンチースタイルで製作されたラストにして挑戦的なアルバム『誕生』のリード曲。
丁寧に作り込まれた打ち込みのサウンドの中にも、チャットモンチーのフィジカルな存在感や体温を秘めた楽曲です。

おわりに

以上、チャットモンチーの魅力や屈指の名曲をご紹介させていただきました。
どんな時もピンチをチャンスに変え、未知なる領域に果敢に飛び込んでいったチャットモンチー。
変身を遂げ続けた彼女たちの音楽は、沢山のリスナーの希望として、そしてバンドマンやアーティストたちの道標として、これからも私たちの心に寄り添い続けてくれることでしょう。

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この記事を書いた人
Iori

音楽大学作曲コースを卒業。
在学中より音楽教室にて講師として勤務し、ピアノ・リトミック指導に加え、スペシャルニーズの生徒さんのサポート、教材開発などの経験を積む。
現在は作曲・編曲活動の傍ら、これまでの経験を生かし主に音楽や教育を題材にwebライターとしても活動中。

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