BLANKY JET CITY【Love Flash Fever】の魅力

BLANKY JET CITY(以降ブランキー)。1987年2月、ベンジーこと浅井健一(ボーカル・ギター)照井利幸(ベース)中村達也(ドラム)の3人で結成。1990年にTBSの深夜番組枠で放送されていた「イカ天」こと、『三宅裕司のいかすバンド天国』に出場すると、破竹の勢いで数々の実力派バンドを下し、5週連続勝ち抜いたバンドのみに与えられる「グランドイカ天キング」を獲得し、メジャーデビューを果たす。

音楽性はポップであったり、ロックであったり、ジャズがったりと、楽曲ごとに表情をが違う非常にバリエーションに富んでいるところが魅力の1つですが、その根底には扱い方を間違えると大怪我をしそうな鋭い切れ味のパンキッシュさを内包してあり、その秀逸なバランスが一度ブランキーの音楽を聴いたら忘れられないほどのインパクトを与えてくれます。

バンドは2000年7月28日のフジロックフェスティバルでのラストライブを実質最後のステージとして解散してしまいましたが、20年経った今でも椎名林檎さんやバイキング小峠さんを初め著名人のファンも多く、影響力が衰えないことには驚かされます。

椎名林檎さんに至っては、自身の代表曲「丸の内サディステック」の歌詞に「そしたらベンジー あたしをグレッチで殴って(ぶって)」と入れてしまうほどの敬愛っぷりで、歩く芸術と称しています。

今回はそんな、今もなおファンの中に強烈に存在し続けている空想都市「BLANKY JET CITY」が発表した6枚目にして初のセルフプロデュースアルバム「Love Flash Fever」のおすすめ楽曲5選をドラマー目線の聴きどころを加えながらご紹介致します。

それでは。SKUNK!

第5位 海を探す

「ハートにヒビが入るほど綺麗な、海を探しにいく物語」ベンジーの美しくそして限りなく切ない声に乗せて始まる、本アルバムのラストナンバー。最後を締めくくるにふさわしいミドルテンポのロックバラード。だけど始まりの予感も含んだ不思議な楽曲です。

一度の転調がある以外は全編同じメロディ展開の楽曲ですが、ベンジーの歌い回しの変化や最終的に声を枯らしながらも「自分達の物語は何があっても止まらない」と言っているかの様に歌い切るところに、少年のようなピュアな心を感じます。

そんな健気さのあるヴォイスを支える楽器隊は、無骨さと鋭さが同居していて気づけば体を揺らしてしまうグルーヴィなアンサンブル。3人全員の楽器を通して(声も楽器としています)の自己主張をしっかりしつつも、楽曲のイメージを壊さないこのバランス感覚。脱帽です。

そんな夕陽が照らす海沿いをバイクで走る姿を連想させる、センチメンタルソングの聴きどころは、「始めるのさぁ!♫」です。転調(Bメロ的な部分)が終わり、一度静けさを迎えたあと、ベンジーの感情たっぷりなファルセットからまた楽曲が始まるのですが、そこからの盛り上がりのきっかけの叫びです。

しかも、この盛り上げ方がかなりニクい。ローギアからいきなりトップギアにする様なインパクトのある切り替えではなく、4小節ごとに楽器隊が少しづつ音符を増やしていく展開。特筆すべきなのは「ベース」。

照井さんの奏でるベースはオーソドックスでありながら要所要所に「こうきたか!」と驚かせてくれるフレージングで、中村さんのドラミングにべったりくっついてグルーヴに厚みを持たせてくれます。

YouTubeに乗っていたコメントで「人生とは、ハートにヒビが入るほど綺麗な海を探しにいく物語だと思います。」の言葉にブランキーの深さを感じて止みません!

第4位 ガソリンの揺れ方

タイトルだけですでに「革ジャンのバイカー」を想像された方。大正解です。そしてブランキーの思惑通りとなっております(笑)歌詞の中に「ただ鉄の塊に跨って揺らしてるだけ、自分の命揺らしてるだけ」という文章が止まらない衝動を物語っています。

実はこの楽曲は筆者が学生時代に組んでいたバンドで、コピーしてライブでも演奏をしていたことがあります。その経験からドラマー感覚で感じたことは「メッチャ足技の練習になる」でした。

BPM105のパルスに乗ってこのリズムを叩いてみると体感できますが、4拍目の8分音符の裏のバスドラから次小節のアタマに戻る時の、バスドラのスライドがスムーズに出来るか否かでこのリズムの気持ちよさが変わります。ドラマーの皆さんはぜひ気持ち良くなっていただきたいです。

間奏ではこのリズムパターンのハイハット部分をライドシンバルカップの裏打ちに変えて叩いていて、難易度がぐんと上がったプレイをノリノリで披露してくれています。この楽曲を一曲通して叩ける様になれば、ドラマーとしてのレベルが上がることは間違いありません!

そんなバーニングソングの聴きどころはドラムだけではなく、ベース・ギターにももちろんありますが、一番はボーカルです。ベンジーの徐々に熱を帯びていくサビの歌い回しは聴いているとその世界観に飲み込まれてしまいます。

この楽曲は2000年7月9日に横浜アリーナで行われた”LAST DANCE”と題したファイナルツアーでも演奏されていて、イントロが始まると観客が大いに沸いているのを見るとファンにも非常に愛された曲であることがわかります。

ブランキーのアドリブ感満載の演奏は、同じ楽曲なのにCDとは全然違う内容になっていて、本曲も同様なのですがカッコよさは全然変わらない。むしろ余計にカッコよく感じてしまう。そんなブランキーの魅力も堪能できます。

第3位 SPAGHETTI HAIR

ど頭から最後までずっとハイテンションを維持したまま駆け抜けるロックンロールナンバー。ウネリまくりのシンプルなリフが繰り返される楽曲を、中村さんのドラムフレーズの変化で全く飽きのこない展開に仕上げています。

そんなドラマー目線では全てが聴きどころと言っても過言ではない(これは全楽曲に言えることです)縦横無尽な中村さんのドラミングの一番の聴きどころは「2回目の間奏後」です。

このフレーズについてドラマーの皆さんはどんな感想をお持ちになるでしょうか?主にハードロック・ハードコア・メロコア・パンク畑を渡り歩いていた(ただメンバーに引っ張られるがままにやっていただけですが・・・)ドラマーの私にとっては異次元レベルで、こんなに楽曲にハマるフレーズを繰り出す発想力に、ドラマーとしてのハイレベルさを感じずにはいられません。

膨大な練習量。それによって繰り出されるインプロビゼーション。この楽曲の全体像はロックンロールなのですが、所々に感じるジャズの雰囲気は間違いなく中村さんが出している部分で、それによってバンドサウンドの深みが増しているのが良くわかります。

ジャズドラマーを師事していたという中村さんだからこそのフレーズに、まるでアートを鑑賞しているような感覚すら覚えてしまいます。

話は変わりますが、中村さんは「東京スカパラダイスオーケストラ」のドラムをヘルプで担当している時期があり、ズチャズチャとスカビートを刻みまくった結果「スカにはジャズが流れている」ことを体感したと雑誌のインタビューで語っていました。

これには妙に納得したことを覚えています。むしろ何をやってもジャズ色にしちゃっている中村さんの存在感がスカに勝ったのでは?と思ってしまいます(笑)。

第2位 皆殺しのトランペット

タイトルからしてすでにえぐい雰囲気をふんだんに出していますね。この楽曲はベンジーがLONDON ZOOで体験した出来事について、地元名古屋弁を使いながら語るパートや、感情のままに叫び散らかすパート、そして物憂げさをまとって歌い上げるパート。まるでラジオを聴いているかのような感覚を覚えます。

若干のハネ感がある粘っこいベースに絡むジャジーなドラム。それにアドリブ感満載のトランペット(一部では中村さんがテキトーに吹いたとの説があります)が作り出すグルーヴがタイトルと相まって「奇しくも痺れる」ギャング感を受けます(筆者の感覚です)。

中村さんのドラムって基本的なチューニングは変わらずなのですが、表情が非常に豊かなんです。ロックビートもジャズビートも、そしてこの楽曲の様なジャズやヒップホップのニュアンスを含んだループビートも全て自分の色にすることが出来るテクニックが備わっています。

そんな中村達也色の人力ループビートがこちらです。跳ねたハイハットの刻みと、凄まじい切れ味のハイハットのオープンクローズとスネアの組み合わせがたまらなくかっこいい。まさにキラービートです。

そして本曲の聴きどころは、冒頭でも軽く触れた「感情のままに叫び散らかす」ところです。ベンジーがLONDON ZOOでの体験を語ったあと、キレのあるスネアの1発をきっかけに再び始まるキラービートに乗せて衝撃が走ります。

助走をつけるかのように「Yeah」と軽く口づさんだ後に、約2小節の叫び散らかしが全てを語ってくれます。個人的にはベンジーの叫びの後に他のメンバー(多分中村さん?)もシャウトしているところが大好きです。

そしてそこから続く「別に、人生がつまらない訳じゃないさ」と言っているが、退屈とも違う満たされない感情に抗うかのようなメロディーラインに乗せたベンジーの歌声に、なかなか青空を見せないロンドンの曇り空をイメージさせられます。こういう絶妙な感情表現が本当に上手いです。

第1位 感情

「感情があって、悲しさはそれの一部分だから、涙が流れるはずはない」楽曲中は基本的にこの歌詞しか歌っていません。しかしタイトル通りの感情の赴くままの曲展開が、まるでこの歌詞以外では成り立たないと言えるほど素晴らしすぎて、全く気にならないのが凄いところです。

直面する悲しみに対して強がりを見せつつも、抗えずに溢れ出てくる感情を抑えることが出来ない苦しみが楽曲を通して伝わってきて、胸を深く抉られます。

こういった、人のコアな部分を表現することが出来るセンスが、ブランキーのブランキーたる所以ですね。絶対に他のバンドでは再現できない。

ベンジーのブルージーでタメの効いたギターとそれに乗せて運ばれる物憂げな歌声。そのギターや声の起伏に合わせて、激しくも切なくそして丁寧にと、瞬間瞬間にタッチや音量を変える躍動感の溢れる中村さんのドラミング。そしてそれらが行きすぎてしまわないように、レールの役割に徹しているのだが、そのアプローチが逆に印象的に聴こえてくる照井さんのベース。

3人のプレイ全てが「感情」に向き合っているのがお分かりいただけると思います。

聴きどころは2回目のサビ終了後の「ベンジーの叫び」です。一度ブレイクするかと思いきや徐々にギターのカッティングの強さが増していき、極め付けの「声にならない声」が吐き出されます。こういうインパクトのある曲展開を違和感なく盛り込まれたら、もう太刀打ちできません。

そんなさりげないインパクトは中村さんのドラミングからもビンビンに繰り出されていますが、中でも特に印象的なフレーズがこちらです。

これほど自信を持てなかった耳コピは初めてなのですが(笑)、このフレーズは3回目のサビが終了しかけたかと思わせた後のフィルインです。オープンハイハットが入るタイミングとカンカンのスネアのコンビネーションに、ゆらゆらと浮かんでは消えていく感情が輪郭を形成していくような感覚を覚えて、再び楽曲の世界観に引きづり込まれてしまいます。

そしてこの楽曲も「皆殺しのトランペット」と同様に別の楽しみもあります。楽曲後半2分間のセッションです。そこでは、感情を出し切った3人が余韻を噛み締めるかのように演奏に没入するジャジーであり、ブルージーなエンディングを聴くことができます。

まるで激しく喚き散らした子供が、落ち着きを取り戻して好きなおもちゃで遊んでいる様な展開に、なぜだか安心感を覚えてしまいます。この2分間がなければ「感情」が成立しないのは間違いないです。

まとめ

いかがでしたか?現在も3人は各々精力的にソロ活動を行っておりますが、再結成というワードは上がって来ていないのが現状です。一度解散したカリスマバンドが時を経て再結成という夢のような展開がブランキーにも訪れるとファンとしては嬉しい限りです。

それでは!

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